聖和歯科クリニック

福山市の歯科,小児歯科,矯正歯科 聖和歯科クリニック

〒720-0825 広島県福山市沖野上町3-8-3
TEL 084-922-0047

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総合的な歯科医療を目指す院長の考え

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■17:30に診療受付を終わる理由  なぜならそれは・・・・
歯科医院も現在は68,000件程度あると言われており、コンビニエンスストアが45,000件ですので、コンビニエンスストアの1,5倍の数となります。
数が増えれば、当然競争も激しくなりますから、診療時間を遅くまでにする所も多くなります。
ただ、当院の場合は、17:30に受付を終了しています。
なぜならば、診療が終わった後に、私自身必ずしておかなくてはならないことがあるからです。
これは勤務しているときから変わっていません。
ひとつは新しい技術(例えば矯正治療やインプラント治療、再生療法)の取得に要する時間がいるということです。つまり、診療が終わった後に、勉強もしたいのです。技術は日々進歩していますから。
もうひとつは、その日に行った診療の整理、型をとれば全ての模型のチェック(例えば入れ歯であれば設計といった仕事)、技工指示書への詳細な記入といった作業です。
そしてもうひとつは翌日来院される方のカルテ全てに目を通し、ポイントのチェックと私の頭の中で診療についてのシュミレーションを行い、次の日の診療の流れをイメージします。
これら全てを行うと(その他食事もして)0:00~1:00ぐらいになります。
ですから患者さんには、もう少し遅くまでという御要望もおありと思いますが、これが私の診療スタイルであるということでお伝えしておきたいと思うのです。


 
■前日に翌日の診療のシュミレーションをする訳
当院は予約制をとっています。1回の治療を30分、長いケースでは2時間とることもあります。前日に診療のシュミレーションをすることによって、予約して頂いた時間を非常に効率よく使うことができます。診療している時に「あの器具がなかった」「あの材料を準備しておけばよかった」ということはあってはいけません。それが時間のロスになるからです。私はいつも密度の高い診療を行いたいと思っています。
当院では朝礼を20分程度行っています。この朝礼では、その日に来院される患者さんの診療にあたっての細かな注意事項を指示し、診療準備を完璧にするべく打合せを行っています。また現在の歯科医療の流れ、あるいは社会の流れなども話をして、大きな視点から歯科医療というものをスタッフ全員でみることができるように注意を払っています。
当院に予約時間に来院された患者さんのために私は少しの時間も無駄にしたくありません。そして常に、その時間は技術の限りを尽くしたいと思っております。


 
■私が治療で一番心掛けていること その(1) 
私が治療で一番心掛けていることは、後戻りできないこと(不可逆的)な治療を行わないということです。後戻りできないということは、例えば歯を抜くことや神経を取るといったことです。それが必要な時ももちろんありますが、歯を残せる可能性、神経を残せる可能性があれば患者さんの意向も聞き、極力残すように努めています。
元々、体に備わっているものを損なわない治療が大切だと思っています。インプラント術も大切ですが、天然歯、そしてそれに備わっているものを残す技術に私はこだわっています。誰しも元々自分の体に授かったものを損なうことは好まれないと思います。
そしてもう一つ、患者さんとよく話をすることにもこだわっています。御自身の考え、思いを伝えて頂きたいのです。「素人だから、お任せします」と言われる前に、御自身の考え、希望も教えて下さい。私がそれについて、それはできます、それは難しいですといったことをお伝えしながら、治療方法が考えられると思います。


 
■生涯修行である。理論に裏打ちされた技術こそが予後を左右する。 
私が常に思っていることは、頭でっかちでもダメであるし、器用のみでもダメということです。予後を左右するのは技術であることは間違いないと思いますが、それも理論に裏打ちされた技術でなくてはダメであるということです。常に新しい理論、技術を吸収していく情熱と向上心を断やさないことが重要であると思っています。
例えば歯周組織再生療法やインプラントであれば、ただメーカーのマニュアル通りにするのではなく、ひとつひとつのステップをなぜそのようにするのか、解剖学的に発生学的に今このステップでは、どのようなことを起こそうとしているのか、また起こっているのかを理解して行うことが、予後の良否に大きく左右すると考えています。
勤務医時代、私を高く評価して起用してくださり、常に情熱と向上心を持って学んでいくことの大切さを教えてくださった院長の存在こそが、私がこのように考えるようになったきっかけです。
自分を成長させるためには、日々の地道なステップしかないと考えています。
そのために時にはゆっくりとしたくなる自分を叱咤激励して、理論と技術の修得に努めています。


 
■症例を通して自己の中で学習を重ねていく。
私はいつも思います。「患者さんこそ最高の師である」と。
治療にあたって私がいつも思うことは、信念を持って「1本の歯を残していく」という姿勢を貫くことが大切であるということです。崖っ淵に立たされた様な、ボロボロになった歯の治療に臨むときは、この信念が特に大切であると思うのです。歯科医療はつまるところ、「天然歯があった時の状態をいかに回復するか」がテーマであると思います。それならば、「抜いてインプラントにすれば良い」と考える前に、「抜いて何かを入れれば良い」と考える前に、今ある天然歯が厳しい状態であっても、残せる可能性が少しでもあるのならば、技術の限りを尽くして残したいと思います。
この信念を持ち、日々学習を重ね、そして毎日の診療を通して自己の中で理論を深めていくことによって「熟練した」技術という無形の財産が自らの中に形成されると思っております。
また、歯科という分野を細分化し過ぎずに、オールラウンドに精通し、技術武装していることが、多面的に疾患をみることができるということで大切であると考えています。
現在医療の崩壊が叫ばれていますが、医師の養成などは一朝一夕でできるものではないと私は思います。正にローマは一日にして成らずというのが熟練した医師の養成ではないでしょうか。


 
■歯科は自然科学であることを認識し、日々の治療にあたる。
私が治療において特に注意をしていることは、「ピントのずれたことをしない」ということです。
歯科は自然科学ですから、臨床で大切なことはポイントを外さないということであると思います。ですから常に自分の行った方法が、それぞれのケースにおいて自然の理にかなっているかどうか、チェックをかけながら治療をしています。
ポイントを外せば、例えばむし歯治療であれば、痛みはなかなか引かないですし、矯正治療であれば、ワイヤーを入れたとたんにひどい痛みが出るは、治療期間はなかなか歯が動かずに3年も4年もかかるは、ということになると思うのです。
臨床ではこのポイントを外さないということが、繰り返しますが、大切なことであると思うのです。
ポイントが外れていたら、いくら時間をかけてもこれはダメだと思うのです
ですから、ポイントを外さずに治療をする、これが結局は治療期間の短縮につながり、また、患者さんの不快を早期に取り除くことになると思うのです。


 
■時には慣れた手法を捨て、常に上を目指す。 
歯科治療も日進月歩で、新しい治療法や材料が次々と出てきます。ベースとなることは変わらないと思いますが、より精密に、より早くといった方向に進んでいるのではないかと思います。従来自分が行っていた方法で、充分良い結果が出ていても、より確実で効率的な方法が出てくれば、システムを大きく見直し、従来の方法は捨てるぐらいの覚悟でいないといけない、と私は常に思っています。
例えば私は以前恩師に、「マイクロルーペ(拡大鏡)を使って治療をすると良いよ」とアドバイスを受けました。「裸眼で充分だ、そんなものは格好つけだ」という考えで、「そんなもの必要ない、そこまでする必要はない」と考えればあっという間に時流に遅れをとってしまいます。事実最近の若い歯科医師(20歳代)は、マイクロルーペの導入に非常に柔軟です。(私が大学教育を受けた頃と教育内容も違うからとは思いますが)
実際に使ってみると当初は一日中顕微鏡をみているようで戸惑いますが、慣れてくるとこれは手放せません。より精密な作業が楽にできるようになるからです。
これは一例ですが、慣れた手法を変えるということは、勇気とそして多くの努力がいります。ただ、それが患者さんのためになるものであれば、私は積極的に行動し、変えていきたいと考えています。


 
■「わかる」と「できる」は違う。 
歯科という仕事は特に手先を使う仕事ですので、「わかる」と「できる」ということが、はっきりと結果となって現れる仕事であると思われます。頭でっかちでもダメ、器用だけでもダメということになると思うのです。
論文を読んで理論としてはわかっていても、セミナーに出席して講師の手技をみても、正直に言ってそれですぐにできるようになるわけではありません。「わかる」から「できる」になるには、私は、一日も例外をつくることなく、日々の積み重ねを行っていくしかないと思っています。
新しい技術は理論ではわかっていても手がついていかない。こんな時にはイメージトレーニングを繰り返し、頭の中でシュミレーションをし、今日治療に30分かかったのならば、明日は25分で終えるように努力をし、もっと効率の良い器具がないか検討し、さらにスタッフの教育も行っていく、といった例外ない毎日の積み重ねしか「できる」になる方法はないと思います。
これによって「わかる」から「できる」となりさらには熟練技術へと昇華していくものと思っています。


 
■臨床のコツは沢山あるものではない。 
私は常に自然の法則とは「シンプルである」と考えています。治療においても、複雑化した方法は一見高度には見えますが、エラーが生じやすいと思います。
例えば10ある行程で、それぞれ1のエラーを生ずればトータルでは10のエラーを生じていることになります。しかし10ある行程を3にすれば、1のエラーが生じたとしてもトータルでは3のエラーで済みます。
一般社会で製造業などはいかに行程を少なくし、エラーを少なくするかという方向で考えるようですが、歯科の世界では、複雑化したものを良しとする傾向があるように思います。
私は矯正治療でもインプラント治療でも、また普段日常的に行ういわゆるむし歯治療や歯の根っこの中の治療でも、いかにシンプルに行うかを考えて研究しています。
例えばインプラントの埋入では皮質骨(固い骨です)に穴を開けるときに、専用のドリルの使用を大抵どこのメーカーのシステムでも勧めますが、私は絶対に用いません。インプラントの失敗の一番の原因は、この皮質骨を穿孔するときに骨に火傷を起こすことにあるからです。メーカーのドリルでは火傷を起こすことがあります。ですからここは私のオリジナルの方法があります。必ず成功する方法です。何も沢山のドリルをそろえてそのメーカーの指示通りに行わなくても臨床にはポイントがあります。これはいわゆる「コツ」というものです。
矯正治療にもコツはありますし、インプラント治療にも、入れ歯治療にも、再生療法にも、どんな治療方法にもコツはあります。そしてコツというのは本当に知ってしまえば簡単なもので、100も200もありません。せいぜい1分野で10か多くて20程度ではないでしょうか。聞けば簡単なものですが、これを自ら切り拓いていって体得するには非常に多くの時間と困難を究めます。もしもコツをすぐに知りたいとすれば、それはコツを知っている人に聞くしかないわけです。
私はベンツを買えと一日説得されても絶対に買わない自信はありますが(興味がないのですから)、治療方法の研究に対しての情報を得ることへの投資は一切惜しみません。自分がある壁にぶつかったとき、教えを受けられる師との出会いがあれば、必ず教えを受けに行くでしょう。
日本人は情報というものに対して無料と考えている人が多いですが、情報とは有料のものであると思います。まして価値ある情報というものを得るには多くの対価が必要です。
例えば矯正治療を身につけたいと思い、万巻の書物を読んでも実際にできるようにはなりませんが、矯正治療をよく理解しているスペシャリストに手ほどきを受ければ別であることと一緒です。
自分が必要としている情報を得るときに自己投資できるか否かが、歯科医師としての技術を一段引き上げていくのに、とても大切なことであると私は考えています。 

 


 
■私は全ての治療を自分でします。なぜならそれは・・・・ 
 ときどき患者さんからのお問い合わせの電話であるのが、「矯正治療は、ほかから先生が来てされるのですか」というものです。当院では矯正治療もインプラント治療も、もちろんむし歯治療といった一般の歯科治療も、責任をもって全て院長の私が行います。代診の先生やアルバイトの先生は居ません。ですから、例えば矯正治療の装置が外れたりなどといったトラブルについても、即座に対応できます。
 私が勤務医のときに恩師である院長に言われた言葉は、「口の中の狭い範囲のことぐらい、オールマイティにこなせなくてどうする」というものでした。特殊な癌の治療などはともかく、あらゆる患者さんのニーズに応えるには、全て自分でできなくていはいけないと私は思っております。
 口の中をひとつの単位としてとらえ、必要以上に細分化しないことが大切であると私は考えています。私ひとりで全ての処置を行うので、一日で診療できる人数というのは限られます。完全予約制にしているのもそのためです。
 「田中(私のことです)に治療をして欲しい」という患者さんに、私は120%の力を注ぎたいと考えているからです。


 
■臨床とは実践である 
 臨床というものは、私は結果が全てであると思っています。
 それでは「臨床とは何か?」と問われれば、私は「臨床とは実践である」と答えます。
 臨床とは机上の空論であってはならないのです。
 自分の身体を治療する医師が、セミナーでいかに勉強をしようが、いかに沢山の学術書を読もうが、どんな立派な博士号を持っていようが、患者さんにとってはそんなことはどうでもいい、関係のない話です。
 患者さんにとって、最も大切なことは、実践で成功するか、自分の病気が治癒するかどうか、それだけであり、当然のことながら、これが一番大切なのです。
 そして実践で成功を重ねられる者のみが名医であると私は考えています。そして私は常にそれを目指しています。
 私は歯科医師となったからには名医を目指したいのです。


 
■抜歯をするから難しくなる 
 歯を悪くすることは、歯を失うことからはじまる。
 歯を失えばインプラントを入れようが、入れ歯を入れようが、歯が全てそろっている人より確実に残っている歯の寿命は短くなる。
 だから歯科治療の中で極力避けなくてはならない行為は、「抜歯」であると私は常々考えている。
 抜歯をするから簡単なケースが余計に難しいケースになると考えている。

 抜歯をするにあたって、親知らずや顎の骨の中にわずかに歯の根の先端が残っているケース以外で、抜きにくいから歯を分割して抜くとか、1時間もかけて抜くなどというのは、少しおかしいのではないかと思う。 そんなにしっかりと植立しているのならば抜かなくて良いのではないか、私はそのように考える。
 抜歯を行えば数学で例えれば、もともと単純な計算式であった問題が、複雑な応用問題になってしまうぐらいのことであると考えている。
 例えれば、割れた歯でもケースによっては接着して残せる時代だ。このようなケースで、割れた歯を抜歯してインプラントにするにしても、一度残すことを試みて、数年後再びダメになってからインプラントをしても良いではないか。
 突然に抜歯を宣告される患者さんの気持ち、私はそれを察すると、いたたまれない気持ちになる。
 抜歯をするにしても患者さんに「もう充分使った歯です。抜歯して下さい。」という気持ちがなければ、抜歯などとてもできるものではない。
 自分の親や奥さんや子供がそのような立場になったらどうするか。すぐに抜歯するであろうか。
 私は絶対に、何としても歯を残そうと、まずは努力するであろう。
 身内にできないことを患者さんにできるわけがない。それが人の道であると思う。
 もちろんプロフェッショナルとしての見解は必要であるが、最新の治療ありきの前に、患者さんの気持ちありきである。

 私はいつもこのように考えて、毎日の診療を行っている。


 
■麻酔について
 無痛的に治療をするということで、何でもかんでも麻酔をするということは、いかがなものであろうか。
 麻酔をしなくても無痛的な治療が可能なことは多い。よって私の場合、一日の治療で一度も麻酔をしない日も多い。
 できれば麻酔などはしない方が良いにきまっている。麻酔をすれば不快な感じが残るし、食べにくくもなる。また、ショックを起こすリスクもある。
 麻酔をするのであれば、必要なときに、しっかりと効かせることができ、しかも痛くない麻酔でなければいけないと私は思っている。患者さんに針を刺したことを感じられるようではいけない。
 そのためには私は電動の注射器は使用していない。一見ハイテク機器のようにみえ、私も一時使ったことがあるが、麻酔薬を注入する微妙なサジ加減が調整できない。従って私は今でも昔ながらの手圧で用いる注射器を使用している。これが一番微妙なコントロールがし易く、患者さんに痛みを与えることなく麻酔をすることができる。
 また、私はむし歯治療では、麻酔をしてはいけないと考えている。それは必要以上に、深く削り過ぎるリスクがあるからである。
 特に症状が全くないのに、むし歯が歯の中の神経の近くまで進んでいるケースでは注意をしなくてはいけない。この様なケースで麻酔を打って治療をすると、治療後熱いものや冷たい物が冷みるようになってしまい、もともと痛みの無かったものを痛くしてしまうことが多い。
 麻酔を行うにあたっては「歯の中の神経を取り除くとき」、「抜歯をするとき」、「インプラントを埋入するとき」とで打ち方に工夫がいる。もちろん局所麻酔(浸潤麻酔)で充分である。これには解剖学、組織学を充分に理解していることが大切であり、なおかつ臨床における手技と併せて、理論的に理解をしていなくてはならない。
 「患者さんが酒を良く飲むから麻酔が効きにくい」などということは、理論的に考えて麻酔を行えば、有り得ないのである。


 
■私は患者さんとの予約時間を大切にしています。 
 私が特に治療にあたってこだわっていることが、「予約時間を守る」ということです。
 予約時間に合わせて来院されるため、患者さんにはそれこそ様々な努力を払って頂いていると思うのです。
 子供さんの受診をされる方であれば、子供さんの食事時間や寝る時間、兄弟、姉妹がおられればその子のこと、雨が降っていれば雨具を着せてと、それはそれは大変なことだと思います。
 お勤めの方であれば、ご自身の仕事の調整をつけて、学生の方であれば学業やクラブ活動の時間を調整してとなると思います。
 当院に来院される患者さんの中には、まず遅刻される方がおられません。ほとんどゼロといってもよいと思います。時間を大切にされる方が多く、また当院の方針もよく御理解頂いていることを感謝している次第なのです。
 患者さんの時間を大切にするためにも、そして密度の高い治療を行っていくためにも、私は「予約時間の厳守」ということを今後も守っていきたいと考えています。


 
■技術では越えられないものがある
 歯科医師をしていると、「1年に1回」ぐらい息をのむほどの素晴らしい出来映えの入れ歯に出会うことがある。
 たいていは「入れ歯が壊れたので新しくつくって欲しい」という要望で来院されるのであるが、それは見事である。
 口の中で20年近く身体と一体になって機能してきたわけであるから、汚れてはいるが、人工歯の磨耗の仕方、粘膜へのなじみ方、そして口の中での適度な遊びなど芸術品ともいえる。
 私はこの様な時、修理をして元通りに使えるようであれば、卒直に新しい入れ歯をつくることをお断りする。「この様な入れ歯を越えるものは私にはつくれません」と。「20年かけてつくられた芸術品です」と。
 そして元通り修理をして、また使って頂ければ良いと考えている。
 数十年の歴史を数回の治療で再現できないことは明白だからである。


 
■日々の治療の中で考察をしていく
日々診療を行って感じることは、「一人一人の患者さんへの治療の中で考察をしていくことが大切である」ということである。
決して流されるままの日々の診療であってはならないと考えている。常に新たな気付きを求めて五感を鋭敏にしていなくてはならない。
学会やセミナーに出席すると何だか知識や技術が向上したような感じがするが、私はほとんど錯覚であると思う。
「患者さんこそ我が師である」と私は常に思っている。
患者さんには一人一人個性があり、誰一人として以前経験した症例と全く一緒というものはない。
患者さんから教えられることは多い。
私も学会やセミナーに出席するが、町医者の役割として診療日は休まないことをモットーにしているので、出席できるものは限られてくる。であるから、余計に日々の治療の中で考察をすることが大切なのである。
そしてセミナーにはあくまでも自分の臨床の確認のために出席している。セミナーに出席して講師に質問したときに、「この質問は臨床に多く取り組んでいるドクターでないとできない質問ですね」といわれるような質問が出るレベルになって、はじめてセミナーも意味のあるものになってくると思う。
私にとって学会やセミナーは、日々の自分の臨床を確認し、時には補足し修正をする場所である。
「現場が最も大切なのである」という姿勢を臨床医は忘れてはならないと思っている。


 
■一生の仕事 
よく、自分の思った通りの仕事には、なかなか就けないものだといわれます。
ですから自分の希望した通りの仕事に就ければ、それは幸せなことであると思うのです。
歯科という職業は、技術力があれば、これほどやりがいのある仕事も無いと思っています。
また、技術力さえあれば、必ず努力が報われる世界であるとも思います。

何といっても、治療が終わった時に患者さんに喜ばれる瞬間は、本当に嬉しいものです。
歯科という分野は、医科に比べればずっと狭い分野を扱っていますが、案外に奥は深いのです。
考えれば考えるほどにアイデアが頭に浮かび、精度の向上や、治療期間の短縮といった工夫ができます。
正に趣味にできる仕事でもあると思うのです。
私は自分の一生の仕事にできる歯科という職業にめぐりあえたことを感謝しているのです。


 
■インプラント治療について思うこと その1
歯科界ではインプラントが画期的な治療方法であり、第2の永久歯などという言われ方をするが、果たしてそうであろうか。
私はインプラントなどは所詮、「天然歯を守ることができなかった歯科医師の敗戦処理の一方法に過ぎない」と考えている。
ときどき歯科の論文で、「これ以上歯周病が進行するとインプラントを植立するための骨が減るので、歯周病が進行して骨が減る前に抜歯した」などという奇妙な一文をみることがある。私はこのような文を読むと、いつから歯科医師は歯周病を治すという医療行為を放棄したのかと思ってしまう。
歯科医師の一番の使命は、「一生自分の歯で食べられるように国民の歯を守ること」であることは論を待たないところであろう。1%でも残せる可能性のある歯ならば、残せる可能性を信じて手を尽くすことが歯科医師の使命ではないだろうか。
歯を抜いてインプラントを売るような歯科医師になってはいけないと思う。

「正しい優先順位」というものが医療にはあると思う。「医療行為」を行わないのか、それとも行えないのか、何のためらいもなく歯を抜いてしまい、インプラントを入れるといった、行っていることは最も原始的な歯抜き師(香具師)や入れ歯師(職人)になってはいけないと思う。
私はいつも歯や口腔の「医療」を行えるprofessionalでありたいと思っている。


 
■MIDの危険性について
MIDという言葉が歯科で使われはじめて、最初は何だろうという感じがしたものですが、現在ではすっかり定着した感があります。MIDとはMinimal Intervention Dentistryという言葉の略で、訳せば「小さく削って小さく詰める」ということになるでしょうか。
これは、接着力のあるコンポジットレジンという材料が開発されたことに端を発する考え方です。
考え方としては、う蝕(むし歯)治療を行っても再治療になることが非常に多いので、う蝕になった歯は極力侵襲を加えずに小さく削ってコンポジットレジンという歯と同色の材料を詰めようというものです。
つまり「う蝕は治せない」というところからきているのです。(歯科ではMIとMIDという概念を混同して捉えている論文も多くみられますが、それについてはここでは省きます。)
私は発想自体は悪くないと思いますが、現在はこのMIDが行き過ぎているのではないかと思います。つまり見た目を重視するあまり、力学的なことを考慮せずに、金属による詰め物が極度に敬遠される傾向にあるのです。
例えば笑ったときの見た目を重視するあまり、奥歯のような強く咬み合わせの力のかかる部分へコンポジットレジンという白い詰め物で詰めるような行為です。確かに見た目はきれいですし、型をとって金属を作って入れるのと違い、歯を削る量も少なくなります。(なぜ少なくなるかは来院された患者さんには模型で説明しますので、ここでは省略します。)
ただし長くもつことはないと思います。4~5年ならいざ知らず、20年30年はとうていもたないでしょう。アメリカではコンポジットレジンで8年程度、ゴールドの詰め物で20年程度といわれています。しかし奥歯にコンポジットレジンを詰めた場合8年は、私は難しいのではないかと思います。
私も実際に臨床を行ってみて、大臼歯(奥歯の大きな歯です)の詰め物でゴールドに勝るものはないと思います。優秀な技工士の製作したゴールドの詰め物を精密に接着すれば、20年という年月は難しくないと思います。
金属を歯に接着する段階は非常に重要で、私の臨床の中でも最も気を使う行為です。私の医院では接着の操作に入ると、スタッフが2~3名アシスタントに就きます。私を含め4名でひとつの金属を歯に接着するのです。
う蝕治療後に、その部分にう蝕が再発しないようにするには、小さく削って詰めることではなく、確実にう蝕の部分を取り除き、きっちりと封鎖、接着して詰めることが大切であると思います。
視野のとれない状態で無理に小さく削ることにこだわるあまり、う蝕になった部分を取り残せば、それはまず再発へとつながるでしょう。
大きく削る、小さく削るということはケースによって考えれば良いわけで、何でもかんでも小さく削れば良いというものではないと私は考えています。
また力学的なことを考慮しない詰め物も、欠けた部位からのう蝕の再発が起こり得ます。
加えて大切なことは、患者さん自身による口の中の充分な手入れです。

私は「1か月に1回お口の中のクリーニング」などということを行っても、自ら管理ができない人は、何度も同じ部分の治療を繰り返すことが多いと思っています。
 

 

■矯正治療と矯正治療相談 
矯正治療相談に行くと、「その後矯正治療をしきりにすすめられるのではないか」と心配する人がいるらしい。
当院は全く逆である。
矯正治療相談を受けたら、1時間ほどの相談時間の中で患者さんの主訴をきき、こちらの考えを伝えて、それで終了である。以降来院を促すことは全くない。
当院の考え方に共感し、矯正治療を受けてみたいと思う人が、改めて連絡をしてくるだけである。
私は医療というものは、そうでなくてはいけないと思う。


 
■矯正治療と矯正治療相談 その2
何軒もの歯科医院で矯正治療相談をして、決められないというときがある。
そういうときは自分が何をして欲しくて、何をして欲しくないかを考えてみることである。
例えば「抜歯はしたくない」などといったことである。
そうすれば一歩前へ進むことができるのではないかと思う。


 
■矯正治療と矯正治療相談 その3
矯正治療相談では、当院では相談料を頂いている。無料ではない。
これは矯正治療相談の場が、私が矯正治療を実践してきて得られたエッセンスをお伝えする場であると考えているからである。
時間は1時間~1時間30分程度みておいて頂く。
矯正治療に興味のある患者さんを集めて行うお話とは違う。
個々に対応したお話をさせて頂く場であり、歯科医師として診断した結果をお話しする場なのである。


 
■成人矯正治療の開始時期
成人矯正治療を希望して相談に来院する人は、以前から自分の歯並びに悩んでいる人が多い。
ただし、なかなか治療に踏み切れない人が多い。
決められない事で何年も経っている。そして治療機会を逃している。
年を重ねる事が、治療を難しくしている事に気付かないといけない。
成人矯正治療の開始時期は、相談に来院した時が最適だと思う。
その時に思い切って治療に踏み出さなければ、なかなか開始できないと思う。


 
■よく観察することの大切さ
歯科医療は自然科学の一分野であるから、よく観察するという事が大切である。
患者さんの訴えと、口の中を観察した結果を結びつけていき、訴えと現象に矛盾点が無いかを考えることが診療への第一歩である。
訴えと現象に矛盾点があれば、その解消に努めなければならない。その手がかりとなるのが、問診でありレントゲンである。
ここで判断を誤るとピントのずれた事を延々とすることになる。
従って、時間をかけてよく観察することは、とても大切だと私は思っている。


 
■矯正治療をインターネットで検索するということ
矯正治療についてインターネットで検索をすれば、沢山の方法や考え方が出てくる。そこでいろいろと知ることはできる。
ただ私個人の考えとしては、それは例えて言えば、車の運転がいくら本を読んでも本質的にはわからないことと一緒である。
治療も体験してみてわかることがある。
それはいくらインターネットで調べてもわからない。
他人の評価をみているだけに過ぎない。
まして方法論の評価などというものは、個人には不可能であろう。
体験しなければわからないことがあるから、医療というものは最小の侵襲ですすめなくてはならないことは、「自明の理」である。


 
■矯正治療と費用
矯正治療には、ある程度のまとまった費用がかかることは事実である。
それでも矯正治療を受けてみようという方は、矯正治療を行うことにより、計り知れないメリットが、今後あることをよく理解しているのだと思う。


 
■矯正治療のゴールとは
矯正治療を行うにあたっては、できることとできないことをはっきりとさせて治療を開始することが、特に大切である。
あまりにも小さなことにこだわり過ぎると、木をみて森をみずというようなことになってしまう。
全体のバランスが良くなれば良しとする考えが、歯科医師と患者の双方に必要であると思う。


 
■良い歯並びとは?
矯正治療相談に来院する患者さんと話をしていると、「良い歯並びにして欲しい」という訴えが当然出てくる。そこでこちらが、「では、良い歯並びとは何ですか」と尋ねると、皆さん答えに詰まってしまう。
そこから話を続けると、「良い歯並びにして欲しい」とは、言い換えれば多くは「良い見た目にして欲しい」ということであるとわかる。
ここに、矯正治療を行うにあたっての重要なヒントが隠されていると思う。


 
■矯正治療と痛み
矯正治療をはじめるにあたって、特に子供さんは痛みがあるかないかを心配するようである。それは矯正治療の相談に来院された子供さんの質問の中で、本人が必ずといってよいほどすることからもわかる。
しかしこれについては、私は心配ないとお伝えしている。
もちろん痛みはゼロではない。ただ、特に子供さんの場合、痛みが出たとしても装置装着後2~3日間くらいであり、その後はほぼ引く。
痛みが出るタイミングとしては、食後が一番多いのではないかと思う。歯を動かし始めた時期は、歯を使うと痛みが少し出るのだろう。
痛みの種類としては、なんとなくジーンとするといったものがほとんどである。そのような場合でがまんできないときは、痛み止めをのんでもらう。これで全て解決する。
痛み止めも3回分わたすが、全部のんだといったケースはまず経験していない。のんでも1回のむかのまないかだろう。
学校で昼食を食べた後が心配であれば、子供さんに1回分痛み止めを持たせるようにしてもらう。
以上、私は自分の娘にも矯正治療を行っているので、その経験をもふまえたお話である。


 
■矯正治療と痛み その2
矯正治療の相談を受けると、なるほどそういうことも心配だったのかと思うことがある。
痛みについての質問で、「矯正治療の装置をつけるときは痛くないのですか」というものである。
なるほど「治療」というからには痛みが伴うかもしれないと思うのも、きわめて当然のことであろう。
私はそのようなときに「ぜんぜん痛みはありません」と答える。
矯正装置をつけるときに痛みはありません。平気ですよと。


 
■矯正治療と通院
矯正治療期間中は1ヶ月に1回の通院となることが多い。
1ヶ月に1回程度が、歯の動きをみるのに理想的ではないかと思う。
その間に装置が外れたり、何かトラブルが出たらと心配する方がいるが、私は心配ないとお伝えする。あまり心配しないことである。


 
■矯正治療と時間
矯正治療をはじめるときは、誰もが長い過程を心配するようである。
ただ、治療が終われば、過ぎてみればあっという間であったという方が多い。
「今日で治療は終わりです。」とお伝えすると、嬉しい顔をされる方もいれば、名残り惜しくて寂しい顔をされる方もいる。
悩んで治療を何年も先のばしするのであれば、まずは思い切って治療をはじめてみて欲しいと思う。


 
■矯正治療と勉強
矯正治療中の来院は、ほとんどのケースで1ヶ月に1回であるから、勉強に支障がでることはないだろう。
痛くて勉強ができないということも全くない。
授業中に装置がじゃまで発言しにくいということも、一部のケースを除けばない。その一部のケースも特殊な装置を使う数ヶ月のことである。
であるから、矯正治療中も勉強にしっかりと専念して欲しい。


 
■矯正治療とクラブ活動 
矯正治療中に制限されるスポーツはボクシングぐらいなので、なんでも好きなものをすれば良い。顔面を強打されるようなスポーツはできない。そのあたりは自分でよく考えて決めることだ。
文科系のクラブ活動では、吹奏楽で楽器が扱いにくいということが専門書ではよく書かれている。ただ私の経験したケースでは、そうでもないようだ。


 
■矯正治療と学校給食
矯正治療を始める際に子供の患者さんからの質問で、「給食で食べられないものが出たら、どうすれば良いですか?」というものは多い。
残さずしっかり食べないといけない給食で、装置が入っているので食べられないというものが出て、残すということになれば、気が引けるのは当然である。
ただ、給食に出される物で、食べられないものはない。
出された物は、しっかりと食べて大丈夫である。
「白玉団子はどうですか?」という子供は多いが、これももちろん大丈夫である。


 
■矯正治療と友達
矯正治療の相談に来院する子供さんは、友達がしているからというケースが一番多い。
友達の歯並びがきれいになっていくのをみているから、私もしたいということになる。
お父さんお母さんも、それではさせてやろうということになるのだろう。
全く親とは有難いものである。


 
■矯正治療と友達 その2
矯正治療に来院する学生は、友達の紹介で来院する人が多いように思う。
友達が矯正治療をしていると、いろいろと尋ねて感想なども聞きやすいらしい。
昔と違い、歯並びの話をオープンに話せる時代になったのだなと思う。
一人でも多く、自分の口元に自信のない人が、自信を持てるようになれば、素晴らしいと思う。


 
■矯正治療と母親
子供さんの場合、「歯ならびが少しおかしいのでは」とまず最初に気付くのは、母親が多いように思う。
子供に一番身近に接していることもあるのだろう。多くはしばらく様子をみているようだ。
「どうもおかしい」ということで、しばらくしてから連れて来ることが多い。
タイミングとしては、それで良いと思う。
心配なことがあれば、知識のある人に相談をすることが大切であると思う。


 
■矯正治療と自信
矯正治療をして歯並びをきれいにすると、「人前に出るのに自信がもてるようになった」という人は、男女を問わず多いように思う。
このことから、人間が持つ自己の肯定感ともいえるものが、自己の内面のみではなく、外見によっても左右されているということがわかる。


 
■矯正治療と笑顔 
機能を犠牲にすることなく(歯を抜くことなく)、矯正治療をすることにより口元に自信をもって笑顔になれるとすれば、積極的に矯正治療を行えば良いと思う。
「治療前はあんなにガタガタだったのに、こんなにきれいになるのですか」と言われるケースも多い。
笑った時の口元のコンプレックスが矯正治療でなくなるとすれば、こんなに良いことはないのではないかと思う。
生涯にわたってのメリットとも言えるだろう。


 
■矯正治療によってコンプレックスを取り除く
他人からみればたいしたことではなくて、「そんなこと気にしなければいいのに」と言われる。
それでも自分では気になって仕方がない。
「問題を取り除いて前に進もう」
これが矯正治療である。


 
■矯正治療と兄弟、姉妹
矯正治療を兄弟、姉妹で行っている、あるいは行ったというケースは多い。
上から順番にと普通は治療が行われる。上の者は下の者へ感想を言えるし、下の者は上の者へ質問ができる。
どんなふうに歯並びが整っていくかも実際にみているから、下の者は抵抗なく治療を行える。
そんな家族が最近増えているという感じである。


 
■子供の矯正治療相談で多い内容 その1
乳歯が抜けてしまったが、永久歯がなかなか生えてこない。
こういう相談は多い。ケースによっては、1年位生えてこない子もいる。
いつまでも抜けたままになっていて、心配になって相談にやって来る。
永久歯がちゃんとあるのに出てこれないのか、永久歯が先天欠如していることが考えられる。(ただし後につづく永久歯が無い場合、乳歯が抜けることはまれである。)
永久歯があるのに生えてこれない場合は、スペース不足のことが多い。
ただ、まれに顎の骨の中に過剰歯があったり、歯牙腫があったりする場合があるので、注意は必要だと思う。
永久歯がなかなか生えてこない場合は、原因をきっちりと突き止めておく事が大切である。


 
■子供の矯正治療相談で多い内容 その2
「子供の歯並びが悪くなってきたのですが、治療開始時期をいつにすれば良いでしょうか?」という相談は多い。
私は基本的に、本人と保護者の希望を優先したいと考えている。
本人と保護者の治したいという気持ちが高ければ、早めに治せるところは治しておくという考えで臨んでいる。
ただし、開始時期は早からず遅からずという考えは大切であると思う。


 
■子供の矯正治療相談で多い内容 その3
今すぐ矯正治療を始めるつもりはないのですが診て頂けますか、という問合わせも多い。
現状をしっかりと把握しておくことが大切であるから、全く問題はない。
相談したいだけなのに、そこからしつこく治療をすすめられたら、親としても困るであろう。
医療行為とは、患者の「納得」して「お願いします」という気持ちがなければ、とても成立するものではない。
私はこのように考えている。


 
■子供の矯正治療相談で多い内容 その4
習い事(ピアノ、スポーツなど)はできますか?という相談も多い。
全く問題ない。
1ヶ月に1回の来院なので、本人や付き添う保護者の方に多大な努力をかけることはないと思われる。
また、矯正装置が習い事の妨げになることもない。
従って、習い事も思う存分すれば良い。


 
■子供の矯正治療相談で多い内容 その5
「乳歯が残っている間に治療をはじめてもよろしいのでしょうか?」という質問も多い。
個々のケースにもよるが、はじめた方が良いケースではそのメリットを説明し、少し時期を待った方が良いケースでは、その理由をお伝えしている。
ただし、基本的にはじめることについては、何ら問題のないことがほとんどである。
異常を正すという点においては医療であるから、心配ならば知識のある人に相談することが大切であると思う。


 
■子供の矯正治療相談で多い内容 その6
「矯正治療について相談をしたいのですが、何を相談したら良いのかわからないのです」という内容も多い。
もっともなことであると思う。
ただ、相談に来院されれば、ひと通りの知識はつくはずであり、相談したかったこともわかるはずである。
それは要点のみをしっかりとお伝えするからである。


 
■子供の矯正治療相談で多い内容 その7
「子供は歯並びを気にしていないのですが、親の私が気になってしまって」という相談もしばしばある。
医学的にみて、治療をした方が良いケースであれば、親の意見を尊重して話を進めることになる。
問題がごくわずかなことで、治療をするメリットがないこともある。そんなときは子供の考えを聞いて、治療することのメリット、デメリットを説明する。
この場合結論としては、治療をしてもしなくても良いのではないか、ということになろうか。
常に治療することを前提として話をすることはない。

 
■子供の矯正治療相談で多い内容 その8
「矯正装置(ブラケット)が取れたりして、度々来ることになりますか?」といった質問もある。
まず取れることは無いと思って頂いて良いです、とお答えしている。
それでなくては、1ヶ月に1回の来院で大丈夫です、とは言えないであろう。
ただ、矯正治療は院長の私が行うので、いつでも対応できる。何か心配なことがあれば連絡して頂ければ良い。

 
■子供の矯正治療相談で多い内容 その9
「矯正治療中の歯磨きは、どうすれば良いですか?」という質問も多い。
歯ブラシは従来のものを使えば良い。ただし電動歯ブラシは使えない。
矯正装置がついていないときよりも磨きにくいことは確かなので、丁寧に磨くことが大切である。
家庭での歯磨きは、充分に行って欲しい。
月に一回の来院時に、当院でもクリーニングを行う。
まずそれでむし歯ができることはない。

 
■子供の矯正治療相談で多い内容 その10
中学生以上の保護者の方になると、「治療はひとりで来させても良いですか?」という質問がある。
本人に治療の内容や進み具合についてわかり易く説明をするので、本人一人で来院することに問題はない。
「本人一人で通院することが安全」と保護者の方が判断すれば、当院は問題ない。

 
■子供の矯正治療相談について まとめ
相談にはさまざまな事柄がある。
いずれにしても、相談する人が相談をして良かったと思ってもらえれば良い。
私はそのように考えている。


 
■矯正治療と母親とその子供
「自分が矯正治療をして頂いたので、今度は子供をお願いします」というお母様も多い。
ご自分が私の治療を受けておられるので、良くわかっていらっしゃるのであろう。
そのような場合、家庭で子供が、母親からアドバイスを受けることも多い。理想的ともいえるだろう。

 
■矯正治療と母親とその子供 その2
親の意見と子供の意見が別れるときがある。
子供は親の分身などというが決してそんなことはない。
一人の人間であり、親とは違う。
誰しも自分の体は、自分が一番大切にしているのである。
それは子供といえども同じである。
そのことを尊重して、親の考えをあまり押し付けないことである。

 
■娘の矯正治療 
この度、私の娘の矯正治療をはじめた。
歯並びを気にしていたので、はじめたいかときくと、はじめたいと言う。姉も私に矯正治療をしてもらっていたので、自分もしたかったようだ。
夏休みにはじめる予定であったが、最近になってしまった。装置をつけると痛みが少し出るだろうからと、夏休みに予定していた。
ただ、痛みは予想通り大したことはなく、すぐに治まって、元気に学校に行っている。
1週間ぐらいで装置にも慣れたそうだ。
いろいろと感想や疑問を言ってくるので、なるほどと思うこともある。
きれいな歯並びになる日がとても楽しみなようである。
期間は6ヶ月。
来年の3月には終わる目標で、本人もその日を楽しみにしている。


 
■矯正治療を受けると決めれば
矯正治療を受けると決めると、子供でもしっかりと心構えを持って来院する。
予約時間に遅れることもなく、静かに治療を受けて帰る。
立派であると思う。


 
■矯正治療と自分を愛すること
矯正治療を受けると表情はもちろんのこと、性格や服装なども別人のように明るくなる、ということはよくある。
自分に自信が持てれば、前向きになる。
自分に自信が持てれば、自分を愛せるようになる。
自分を愛せる自分になりたい人は多いと思う。
矯正治療は、それの一助となることができると思い、日々の治療にあたっている。


 
■矯正治療と親心
子供も大きくなると、お金というものがどういうものかわかってくる。
5才の子供に10万円を渡しても、使えない。むしろ、100円渡してやった方が喜ぶであろう。
成長と共にお金の価値もわかり、有り難みや使い方もわかってくる。
矯正治療はしたいが、親に負担はかけたくないという気持ちの子供さんは多い。
また、子供にできるだけのことをしてやりたいという親心もある。
その様なときは、親子でゆっくり話をして下さいと私はお伝えする。
それで出た結論が、最も良い結論であると私は思っている。

 
■娘の矯正治療 その後
先日、春休みまでに終わるとの約束通り、娘の矯正治療を終えました。
歯並びが悪いため、後に生えてくる永久歯に影響が出そうでしたが、改善して終わりました。あとは自然と永久歯がスムーズに生えてくれると良いとは思いますが、こればかりはコントロールできないので様子見です。
また何か気になる点が生ずれば、再度装置を装着することになりますが、それまではいったん矯正治療は終了です。
こどもの矯正治療で大切なことは、歯列不正のある部分のみ治療を完了させ、長引かせないことであると思います。


 
■矯正治療と周囲の目
矯正治療をしていると、必ず周りの人から聞かれます。
「痛くないのか?」とか「食べにくくないのか?」とか「どれ位かかるのか?」とか、いろいろです。
そんな時は、沢山教えてあげて下さい。
あなたにしか答えられないことが、いっぱいあるはずですから。
あなたの話を聞いて、矯正治療をしてみようと思う人がでてくるかもしれません。
もしそうなったとしたら、とてもすばらしい事だと思います。


 
■矯正治療と抜歯
「前歯の歯並びが気になるのですが、上と下の奥歯を合計4本抜歯する必要があるというのが、嫌なのですが」という訴えを持って来院する患者さんは多い。
それに対する回答はシンプルで、「では抜歯をしないで治療をしたらどうですか?」ということになる。
抜歯をしないで治療ができるということは、治療に対して恐怖心のある人には最善の方法であると思うし、何よりもからだへの侵襲が少ない。
非常にこのような相談が多いと、最近感じている。


 
■歯磨き
歯を磨くということは、特に大切である。
単純なことのようではあるが、口の中の健康を守るにはこれしかないともいえる。
歯というものは、自分で見ることができる。従ってお腹の中などと違い、自分で手入れができる。
毎月に1回、歯のクリーニングなどをしても、自分で磨かなければ意味はない。医学的に考えれば、極めて当然ではある。
自分でしっかりと磨いて、手入れをするということが何より大切であり、他人任せにしないという姿勢が必要であると思う。
まずは自分の健康は自分で守る、という考えでなくてはならないと思う。


 
■歯磨き その2
病気の予防が、医科でも歯科でも大切なことは言うまでもない。
それでは病気の予防は、一体誰がするのであろうか?
自分自身にほかならないであろう。
節度をもった生活ということだ。
他人に予防してもらうなどということは、本来おかしいと思う。
毎月1回 歯のクリーニング、などといっても予防にはならない。
動機づけ程度のことであろう。
要は自分でしっかりと歯を磨くことが、一番の予防なのである。
1年365日の12日診たところで、予防にはならないであろう。


 
■歯磨き その3
「電動ハブラシを使った方が良いでしょうか?」という質問は多い。
ここで考えなければならないのは、質問した方の年齢と、疾患があればそれである。
電動ハブラシで歯と歯肉の境界や、歯肉の溝の中を磨けるものはない。
歯周病を気にしなければならない年代である場合、または現に歯周疾患に罹患している場合は、電動ハブラシは適さないであろう。
歯周病を気にしなくて良い世代のむし歯予防に用いるのであれば、電動ハブラシで歯を磨くのもひとつの方法ではある。


 
■自分の口の中がどうなっているかは案外皆さんわかっていない 
患者さんと話をしていると、意外に、自分の口の中がどのようになっているか
皆さんわかっていない、ということに驚かされる。
例えばブリッジが入っていても、ブリッジとは思っていないことがある。歯を抜いたことさえ覚えていない。
自分の口の中を知るということは、自分で手入れ(歯磨き)をする際にとても重要なことである。
一度しっかりと把握した方が良い。


 
■歯磨きで現にあるむし歯の進行は止められるのか?
小学校就学前の子供の保護者からの質問で多いもので、むし歯があると診断された場合、「歯磨きをしっかりしていれば大丈夫ですか?(進行しませんか?)」というものがある。
裏をかえせば、今治療するのは子供の負担になるという考えから出ている発言であろう。
私は象牙質まで達しているむし歯については、「無理である」とお答えしている。
これも若年者と高齢者とで区別して考えなければならないが、小学校就学前の子供であれば、象牙質まで達したむし歯を歯磨きで進行を止めるということはできない。
もしも経過をみるのであれば、それ相応の対応が必要であろう。
対応としては、猶予のない治療が求められると思う。


 
■矯正治療中の歯みがき
矯正装置が入ると、歯磨きがしづらくなるのは事実である。
従って矯正治療中は、丁寧な歯磨きを心掛けて欲しい。
歯とワイヤーの間に入った汚れは、歯間ブラシの少し太めの物を用いて除去することが効果的である。
歯ブラシは今まで自分が使っていた慣れた物を使えば良いと思う。
ただし、どんな物が良いかと聞かれれば、ヘッドは少し小さめが良いのではないかと思う。
また毛の長さも、少し長めが良いとも思う。

 
■矯正治療中の歯みがき その2
小学生や中学生の子供さんの保護者の方から、「学校へ歯ブラシを持って行って歯磨きをした方が良いですか?」という質問がときどき出る。
昼食後は食べかすがワイヤーにはさまったりするので、私は磨いた方が良いと思う。
歯ブラシを子供が持参して、磨くことが好ましいといえる。

 
■成人矯正治療をはじめた患者さんに共通していること
成人になって矯正治療をはじめた患者さんは、勇気が必要であったと思います。
いろいろとわからないこともあって、説明だけでは不安なこともあったでしょう。
自分の思い通りの結果の予測がでなくて、妥協した点もあったかと思います。
それでも矯正治療をはじめたのは、メリットが妥協点を上まわったからであると思います。
そして皆さんに共通して言えることは、とにかくはじめてみようという思い切りの良さです。
やっぱりそれがないと、いつまでたっても成人になってからの矯正治療ははじめられないと思います。

 
■患者さんにストレスのかからない矯正治療を目指す 
矯正治療を受けている患者さんが最もストレスを感じることといえば、(どんな治療でもそうなのではあるが)予約日以外に何らかの不具合で、来院しなければならなくなることであると思う。
矯正治療でいえば、それは装置が外れるということが一番多いと思う。
歯に装置を接着するという技術は確立されているから、外れるとすれば術前の装置を装着する位置の検討不足か、テクニカルエラーであると思う。
であるから、私は装置の装着には最大限の注意を払い、特に集中して行っている。
矯正治療終了時まで一度も装置が外れることはないということが、当たり前のことにならなくてはならないと考えている。

 
■ホームページの内容は当院の理念である
当院のホームページの矯正治療についての内容は多いので、全て読みきれない方も多い。また、全て読んだが、わからないことや、ポイントがつかめない方もおられるとは思う。
そのような方は、矯正治療相談の時に伝えて欲しい。
不明な点については、エッセンスをお伝えするようにしている。
また、個々の症例により、説明の仕方は一様ではない。
ホームページの内容は、矯正治療を行っていくうえの理念であり、実際の矯正治療相談では、この考えをベースにお話をすすめていくこととなる。

 
■矯正治療と修学旅行 
修学旅行までに、できるならばブラケットを外して欲しい(矯正治療を終了して欲しい)、という学生の方は多い。
それには修学旅行から逆算して、1年程度前から矯正治療をはじめると良いと思う。
これは覚えておいて欲しい。

 
■矯正治療の終了時期
矯正治療の終了時期は、小学生、中学生、高校生、大学生であれば、それぞれの学校の卒業の時期がひとつの目安になる。
また、それを希望される方も多い。
そう考えると逆算して、治療終了を矯正治療開始から1年程度みておくことが必要であると思う。

 
■矯正治療と長期休暇
学生の患者さんの場合、長期休暇(夏休み、冬休み、春休み)の前や長期休暇中に矯正治療をはじめることは多い。
普段はなかなか時間がとれなくても、まとめて時間がとり易いということもあるのだと思う。
また、長期休暇中に治療をはじめて、通学前に装置に慣れておきたいという方も多い。
長期休暇中にブラケットを装着して、矯正治療をはじめたい方は、相談に休暇前に一度来られる方も多い。
それであれば、長期休暇前には診断が出て、治療計画が出来上がっているので、スムーズに治療に移行できるからである。

 
■夏休みに矯正相談を 
今の子供たちをみていると、私の時代に比べたら、はるかに忙しいと思う。
「習い事が多いので歯並びが気になっていても、なかなか相談に来れなかったのです」という親御さんは多い。
そのような場合でも、夏休みは比較的 子供の都合がつき易いのではないかと思う。
ただ習い事が多いが、通えるかという心配も当然あるかと思う。
それも1ヶ月に1回の通院で対応しているので、まず大丈夫であると思う。
矯正治療相談を希望される方は、夏休みを有効に活用されたらいかがだろうか。

 
■夏休みに矯正相談を その2 
学校は先日夏休みに入ったが、やはり矯正相談は多い。
この機会にという方が多いのであろう。
また、成人の方の相談も多い。
夏はいろいろなことをはじめるのに、人が前向きになる季節なのかもしれないと考えている。

 
■学生は長期休暇のメリットを生かす 
矯正相談をしてから、すぐに矯正治療をはじめたいという人は多い。
あるいは、もうはじめると決めて来られる人も多い。

相談をした日に矯正治療をはじめたいと思えば、診断用の模型をつくるので、相談した当日に口の中の型とりを行えば良い。
そうすれば、次の来院のときには矯正治療の開始が可能である。
しかし、学校があると装置を装着する日どりを決めにくいことも事実である。
その点、夏休みのような長期休暇は時間がとり易い。
矯正治療をはじめたいと思われる方は、夏休みを利用してはいかがだろうか。

 
■主訴のない人 
矯正治療相談に来院する人は、主訴、つまり 何が気になってどうして欲しいかということを、はっきりさせて来院することが大切である。
主訴はあるのだが、どうして良いかさっぱり分からない、相談の仕方も分からないというのであれば、それは問題ない。
主訴がない人には、説明も治療もできない。主訴をはっきりとさせて来院することが重要である。

 
■夏の終わりに 
夏休み、本当に多くの方に矯正相談に来院して頂きました。
そしてひとりひとりじっくりとお話をきくことができ、良かったと思います。
皆様に私のアドバイスが、少しでもこれからの参考になれば、こんなに嬉しいことはありません。

 
■インフォームドコンセント 
私は当院に勤務している歯科衛生士です。
院長は患者さんにとても丁寧に対応されています。
その1つにインフォームドコンセントがあります。
患者さんが分かりやすい様に丁寧に説明し、選択肢を提案したりして、患者さんが納得された上で治療を開始されます。
医療にとってインフォームドコンセントは当たり前のことではありますが、患者さんが治療内容を理解されて、納得されてから治療を開始するということが、しっかり出来ていないといけないと院長は考えておられるように思います。
院長は患者さんが理解し易いように、参考になる本や写真等を用いて説明を進められます。
歯科矯正を希望される方で特に成人では長期間悩まれていて、一大決心をして相談に来られた、という方も多いので不安が大きいように思います。
院長はその不安を取り除き、治療内容を理解して頂く為にしっかり時間をかけて、参考用資料等を用いて説明されます。
私が患者さんに一連のお話が終わった後に「何かお分かりにならないことがありますか」とお伺いすると、「丁寧に説明して頂いてよく分かりました」と言われる方が多いです。
私は当院で治療される方は、皆さん不安なく納得して始められていると思っています。

 
■歯を抜かなくても治るのですか? 
「歯を抜かなくても治るのですか?」といった質問は矯正治療相談ではよくきく言葉ではある。
ここで言われる「治る」とは、「歯がきれいに並ぶ」という意味であり、決して「傷が治癒する」といった「治る」という意味で使われてはいない。
矯正治療相談では、抜かずにどの程度まできれいな歯ならびになるかをお伝えして、併せて、治療期間もお伝えする。
それでも抜かないと心配(?)であるという人は、世の中に一定の割合はおられる。
また、私の提示した治療のゴールに不満足の方もおられる。
美の基準は一律ではないので、私は「抜かずにここまで治るのであれば充分」という方を対象に治療を行っている。
それは患者さんの主義の問題であり、別段人がとやかく言うことではない。人それぞれの好みの問題である。
であるから抜歯を行ってでも治療を受けたい人はそのようにすれば良い話であり、それはそれで良いと思う。ただし、私はそれをしないだけの話である。

 
■かみ合わせがおかしいと訴える人 
例えば「昨日からどうもかみ合わせがおかしい」という患者さんが来院したとする。 私は以下の事を問診する。(順番は思いつくまま) 通常は患者さんの症状や表情から気になることを順にきいていく。もちろんきかないことも以下にはある。
・その歯は天然歯か修復されているか、それとも入れ歯か。かぶせや入れ歯であれば、いつ頃入れたか。
・いつからか。
・きっかけがあるか。
・薬はのんでいるか。のんでいるとすれば、なぜのんでいるのか。そこで何か感じられるものがあれば参考になる。
・夜眠れるか。眠れるとすれば中途覚醒があるか、それとも熟睡か、うつらうつらか。
・風邪をひいているといったように、急に体調が悪くなっていないか。
・今までも同じようなことがあったか。
・あなたの性格は生真面目な方か。ズボラな方か。
・痛みの程度はどんなものか。ズキズキとか浮いた様な感じなど、自分なりの表現で言ってもらう。
・天然歯であれば、むし歯、根尖病変などがX線上でみられないか。
・歯が割れていることはないか。(これは特に入念にみる必要あり)
・家族とはうまくいっているか。あるいは家族がいなければ仕事など。
・自分の仕事が忙しすぎることはないか。過労ということはないか。
・息抜きできることがあるか。
・かむと痛いか。そうであるとすれば歯のかみ具合、例えば歯を強くかんだときと軽くかんだときで違うのか。
・歯の周囲の歯ぐきに、視診で問題はみられないか。
・他の歯科医院の先生にもみてもらったことがあるか。あるとすればどのようなことを言われ、どのような処置を受けたか。
ざっと思い浮かぶのはこれぐらいであろうか。その他に患者さんの表情をみてその場で思いつくこともあるので、もう少し増える。
かみ合わせがおかしいと言うことで、すぐに咬合紙をかんでもらい、歯を削って調整するということはない。
削るだけ削って、かぶせを外すだけ外してしまい、改善しないうえに「どうしていいかわからない」などといった非常識なことは、厳に慎まなくてはならないと思う。
現状を保存しながら話をきくということが特に大切であると私は考えている。
患者さんとの会話の中に答えがあることも多い。

 
■歯科においてのダブルスタンダード 
歯科では「一生自分の歯で食べられる」ということが、治療の目標となっている。
従って、まずは、悪くなってしまった歯を残そうと努力する。
ただ、その結果、抜歯に至ることもある。
抜歯するにあたっては、私としてはかなりの決断を必要とする。
患者さんともよく話をして、患者さんの思いもきく。
その結果、抜歯しても可と判断すれば、医学的見地から抜歯をすることになる。
しかし、矯正治療においては、美容のためだけに簡単に歯を抜いている。
矯正治療をするということになると、全く抜くということにためらいがない。
歯を抜くというデメリットは、年齢を重ねる程大きくなる。
私は自分の家族や患者さんにそのようなことはできない。
それは、歯を失って困っている人を沢山みてきたからである。
だから矯正治療のときに私は抜歯をしないのである。

 
■義歯(入れ歯)とは使えないものなのか 
歯がなくなれば、義歯を入れる必要のあることも多い。
ただ、とにかく義歯は痛くて、かめないものというイメージが根強く残っている。
私はその反対で、世間で思われているよりも快適で、よくかめるものではないかと思う。
義歯が合っていないから、痛くて咬めないということになる。
逆に言えば、合っていれば、手離せないものになる。
新しい義歯でも、それが合っていないことは当然ある。
そういうことがあるから、義歯というものに不信感を抱かれるのではないかと思う。
そういうことがある理由は、製作におけるプロセスで、どこかの段階でエラーが生じたからである。
エラーがほとんど生じずに製作された義歯であれば、装着日当日のわずかな調整のみで、通常次の来院はいらない。
すなわち、義歯を装着した日が治療の終了日となる。
「もしも」不具合があれば連絡をくださいとお願いしておくが、連絡がくることはまずない。

私が次にその方に会うのは、1~2年後、何かがあったときになる。
それが私の日常である。

 
■歯髄(歯の中を通っている神経)を取り除いた歯は残せるのか? 
歯の中には歯髄というものが入っている。
上顎では、眼窩下神経からの枝である中上歯槽枝・前上歯槽枝と、上顎神経の枝である後上歯槽枝とが合わさった上歯神経叢から分布している。下顎では、下顎神経の枝である下歯槽神経から成された下歯神経叢から分布する。なお、眼窩下神経も上顎神経の枝である。
歯髄は、むし歯が大きくなり、痛みがひどいときは取り除いた方が良い。
歯髄を取り除いても、歯は抜かなくて良いのかという質問はときどきある。
もちろん、歯髄を取り除かなければ歯はより長く持つであろうが、適切な処置を行えば長期の使用は可能である。
歯髄はなくなっても歯は残せるが、歯根膜がなくなった歯は残せない。
それを考えれば、歯周病の方がやっかいであるといえる。

 
■義歯(入れ歯)とは使えないものなのか(2) 
義歯は、義手や義足と同じであると思う。
まずは使いこなさなくてはいけない。
私も、義歯をはじめて装着する方には、まずは慣れて下さい、とお伝えする。
ただ、こちらが慣れて下さいとお伝えするからには、装着して痛いような義歯ではダメである。また、かめないようでもダメである。
痛くて合わないために度々調整に行かねばならないとなると、慣れる前に義歯を装着すること自体がおっくうになる。
義歯が痛くなければ、徐々に慣れていくことができる。

また、かみ合わせに不快な感じがあるのも良くない。
自然に入れていられる義歯が理想であり、そのような義歯は慣れれば手離せなくなることは間違いない。

 
■義歯(入れ歯)とは使えないものなのか(3) 
義歯の合わない最大の原因は、印象採得(型とり)の不備である。
印象採得についてはいろいろな考え方があるが、粘膜という変形し易い部分を記録するわけであるから、いかに粘膜を変形させずにとるか、これに尽きる。

成書の中には、印象材(型とり材料)をやや硬めに練って、印象用トレーの上に山盛りにして、口の中でしっかりと圧接するとか、混ぜる水の量を2倍にして印象材をやわらかく練り、粘膜の変形を少なくするなどと書いているトンデモ本もあるが、全く論外である。
口の中に、トレーに山盛りにした印象材を入れたら、どのような口の中の状態になるか想像してみればよい。口の中が印象材であふれかえって、自然な状態などとれるわけがない。また、印象材を2倍の水で練ったら、化学反応はメチャクチャである。印象材を2倍の水で練ったら、正確な寸法の型などとれるわけがない。
患者にリラックスしてもらい、「必要な部分」を変形させることなく印象する。
これが最も大切であるが、これはコツをつかんでいないとできない。
歯科は科学ではあるが、職人的な要素も必要であるということは、このようなところであると思う。

 
■歯根膜を失うと歯は残せない 
歯根膜を失う最大の原因は歯周病である。
歯根膜とは、歯槽骨(歯槽突起)と歯根表面のセメント質とをつなぐ線維性結合組織である。
歯周病にかかると、これが破壊される。
家で例えれば、基礎がダメージを受けることに似ている。
このようになれば、歯自体にむし歯がなくても、歯に動揺が生じ、最悪の場合抜けてしまう。
これを防ぐには歯を磨くことである。
1か月に1回の歯科医院での歯のクリーニングなんてものは、「よく歯の手入れをしている人にとっては」意味があると思う。
普段、歯も磨かずに寝てしまったり、歯は磨いているが適当に行っている人にとってはほとんど意味がない。気休めにしか過ぎない。
歯などは自分で責任を持って磨くことだ。
そのようなことを他人任せにして、自分の健康は守れないであろう。

歯磨きの仕方は誰に教われば良いのかということになる。
私はこれは上級医に教わるべきであると考える。
本当のキモの部分は上級医が教えるべきである。

それぐらい大切なことなのである。

 
■予防歯科とは何か 
病気を未然に防ぐのが良いことであるのは間違いないし、これをすすめることも良いと思う。
ただし、主体がどこにあるのかということは大切である。
日常生活を管理できるのは自分しかいない。
まして大人ともなれば、自分が主体となるしかない。
他人に予防してもらうというのは、現実的には難しい。
その人のヤル気がなければ無理である。
■義歯(入れ歯)とは使えないものなのか(4) 
義歯は咬み合わせが大事であるともいわれる。
ただしそれは、印象採得が合格点をとれていればの話であり、スタートでつまづいていたら、後はいくら時間をかけてもダメである。
義歯をつくる治療上の流れとしては、印象採得→咬合採得(咬み合わせの記録)→試適(ほぼ義歯を完成した状態で合わせてみること)→完成となり、4段階にわかれている。
印象採得はこの中でも一番最初の段階であり、咬合採得は次の段階となる。
咬合採得は、総義歯と部分義歯とでは、注意するべきポイントが私は違うと考えている。
部分義歯の場合は特に、「義歯の咬み合わせを主張させてはダメ」である。
患者さんが義歯を入れた時に、「楽(らく)ですねえ」と言ってくれないとダメであると思う。
義歯の人工歯が主張していると、とにかく「義歯を入れることがしんどい」ということになる。

痛くはないのだが外したくなる義歯をみると、まず間違いなく、人工歯の咬み合わせが主張している。
この点は、部分義歯の製作にあたっては、特に注意をしなくてはいけない。
■義歯(入れ歯)とは使えないものなのか(5) 
総義歯の咬み合わせが部分義歯と異なるという点は、片顎あるいは全顎に歯が1本もないことに起因している。
従って、咬み合わせは歯科医師が決めていかなければいけない。
ここで考えなくてはならないのは、歯科医師は咬み合わせを決めるのであるが、それは患者さんから探り出す(探り当てる)ということであり、自由に決められるということではない。
食べるという行動は乳歯の萌出時期からはじまっており、それが生涯にわたってベースとなると私は考えている。
であるから、咬み合わせの中心をどこに設定するかということは、乳歯が生えていた頃までさかのぼって考える必要がある。
ところが、乳歯どころか永久歯も、少なくとも片顎には1本もないのであるから、どのようにして考えるかということになる。
乳歯→永久歯という流れの中で、咬み合わせの中心がどこにあったのかは、乳歯列をみれば答えはあるが、総義歯の咬み合わせの設定に際しては、特に重要であると思う。
■スピード感と安心感 
患者さんの治療を行うにあたっては、スピード感がなくてはならない。
ダラダラと治療を行うことは厳に慎まなくてはならない。
そして治療中は安心感を与えるように配慮すべきであり、それが最も大事である。
■義歯(入れ歯)とは使えないものなのか(6) 
咬み合わせの記録を採得すれば、ここからは技工士との協同作業がより一層深くなる。
義歯を上手につくることのできる技工士は少ないと思う。 上手な技工士と息が合えば、良い義歯ができることは間違いない。
良き技工士の条件は、模型をみることができ、そこから口腔内を推測することのできる能力のある人である。 もちろん精密な作業にも精通していなくてはならない。
総義歯および部分義歯においての設計は、全て歯科医師の仕事である。
特に部分義歯の設計は、義歯の安定の根幹にかかわる作業なので、当然歯科医師が行わなくてはならないと考える。
従って技工士への設計の丸投げは、厳に慎まなくてはならない。
義歯の適合の良し悪しは、全て歯科医師が責任を持つという気持ちがなければ、技工士と良きパートナーとなり得ないと考えている。
■義歯(入れ歯)とは使えないものなのか(7) 
義歯を設計するにあたっては、当然模型の上での作業となるが、良い模型というのは、決して「粘膜面がきれいに記録されている」模型ではないと考えている。「きれい」である必要はなく、「ありのまま」がとれていなくてはならない。
模型を「きれい」に仕上げようとするために、印象採得時に過剰な圧をかけ、粘膜を緊張させた状態にするようなことは避けるべきである。
良い模型は粘膜の表面性状がよくわかる。

反対に、うまくとろうとした型でできた模型は一見きれいにみえるが、義歯の出来上がりが悪い。
それは、粘膜のありのままが記録されておらず、変形した状態が記録されているからである。
■患者さんの主訴をしっかりと治す 
治療を行うにあたっては、まずは患者さんの主訴にしっかりと対処することが大切である。
そして、ダラダラと通院して頂くことは避けるべきである。
必要な時間をきっちりととり、充分な時間を1回の治療にかけ、短期の来院で治療を終えるべきであると考えている。
■患者さんの治療をして思うこと 
歯科医師に対して患者さんが何を求めているかは様々であると思うが、共通していえることは、基本的な治療をしっかりと行って欲しいということではないだろうか。
いわゆるむし歯の治療、歯周病の治療といったものである。
むし歯の治療であれば、治療後に痛みが残らず、充塡物の咬み合わせが良く、脱落しないということである。
また、歯周病の治療であれば、動揺があり、腫れが生じている歯を、長期間咀嚼できるところまで治すことである。
患者さんにとって歯科医師なら当然できなくてはならないと思われていることが、合格点をとれないようであれば、信頼を得られないと思う。
■歯にできるだけかぶせを入れない 
治療の際に私は、できるだけ歯にかぶせを入れないようにしている。
金属でつくったかぶせは、全部鋳造冠という。
できるだけ、小さな金属で対応できるところは、そのようにしたいと考えている。
なぜなら、かぶせにすると、歯の防御層であるエナメル質を大きく削除することになるからである。
それに比較して、歯の中にはめ込む方法(インレーといいます)であれば、エナメル質を削除する量は格段に少なくなる。
エナメル質を削除してしまい、むし歯になり易くなるリスクをとりたくないのである。
■義歯(入れ歯)とは使えないものなのか(8) 
義歯の試適(ほぼ義歯を完成した状態で合わせてみること)は、私は行った方が良いと考えている。
製作時のエラーがあるとすれば、このステップが最後の修正の機会となる。

この段階を省略してすぐに完成とするにはリスクが高い。
慎重にも慎重を期した方が良いというのが根底にはある。
義歯を完成前に1回合わせるということは、口元の雰囲気もわかるし、患者さんも安心できる。実際に口の中に入れて、歯並びに(特に前歯)希望があれば、臨床的に可能な範囲での修正は可能である。
急がばまわれという考えで義歯完成までの過程は進めたいと考えている。
■歯髄(歯の中を通っている神経)を取り除いた歯は残せるのか?(2) 
歯髄を取り除いた歯を残すためには、根管(歯髄の通っていたトンネル)の中の清掃を行う必要がある。
歯髄はもともとが蛋白質であるから、壊死すればそれは変性蛋白質となり、細菌の温床になる。(ただ、細菌感染を起こしていない歯髄は別の転帰をとることも多い。)
根管内が細菌の温床になれば、それは、やがては歯を支えている歯槽骨へと影響を与えるようになる。
根尖(歯の根の先端)に細菌が達し、免疫が細菌に対して反応すれば、それは慢性炎症という現象や、急性炎症という症状となって現れてくる。
これを防ぐには、根管内にいる細菌を減らすべく根管内の清掃を行う必要がある。清掃は薬品での清掃ではなく、基本はあくまでも小さな器具を用い、手指による根管内の汚染物質除去となる。
■義歯(入れ歯)とは使えないものなのか(9) 
試適が済めば、技工士に依頼して完成となる。
完成した義歯を口の中で使えるように、最終的な微調整を行うのは歯科医師の仕事である。
私は歯科医師になった時に思ったのであるが、「新しい」はずである義歯が、スンナリと入らないことが多いことが、不思議でならなかった。
また、義歯を入れた後も度々調整に来なければならないということも不思議であった。
世間一般的に言って、「新しい」ものであれば調子が良くて当然である。 エアコンにしても、車にしても、新しいものに不備があれば、それはおかしいということになるであろう。
口の中はひとりひとり違うから、規格化された工業製品と違うと考えればそれまでであるが、ではオーダーメイドの洋服で、完成した後に大きく修正を加えるようなことはあるであろうか? もしその様なことがあれば、下手な仕立屋ということになり、お客を失うであろう。
「新しい」入れ歯も、調整がほとんどなく入って、はじめて患者さんに認められるのではないかと思う。
■歯髄(歯の中を通っている神経)を取り除いた歯は残せるのか?(3) 
根管の中を清掃するにあたっては、注意しなければならないことがある。
ひとつは、「根管内の汚染物を根尖(根の先端)から歯槽骨内へ押し出さないこと」である。もうひとつは、「根尖を器具で破壊しないこと」である。
前者は急性炎症を起こす原因となり、後者はなかなか痛みが引かない原因となる。
通常、私の場合根管内の治療は、根管内の状態のチェック(初回)→根管内の清掃(2、3回め)→根管内への充塡処置(3、4回め)と、3回~4回で終わるように努めている。
それには、注意事項2点を守ることが大切であると考えている。
■麻酔薬を使わずに、痛みなくむし歯の治療はできるのか? 
痛くないむし歯の治療には、麻酔薬が使われる。
しかし私は、麻酔薬を使わずに痛くなく治療をしたいと思い、むし歯の治療では麻酔薬は使っていない。ただし、むし歯があまりにも深く、歯髄を取り除くようなときには当然使う。
むし歯治療に麻酔薬を使わないメリットは、治療後に痛みの出ることが無いことである。
また、治療中のむし歯除去にも、患者さんに痛みを感じさせないようにフェザータッチに徹するので、予後が良い。

患者さんが痛みを訴える部分は削除するべきではないので、痛みを感じる部位と感じない部位の境界を探りながら削除する。よって自然とフェザータッチになるのである。
麻酔をしなくても、器具の当て方の力加減で、痛みなくむし歯の治療は可能である。
■歯髄(歯の中を通っている神経)を取り除いた歯は残せるのか?(4) 
根管内の清掃を行う前に、根管内の細菌がどのように根尖に影響を及ぼしているかをみる必要がある。これはレントゲンで確認をすればわかる。
根尖の歯槽骨にレントゲン上で影があれば、炎症が進んでいると判断される。
この場合は影の大きさにもよるが、根管内の清掃は根の先端ギリギリまで行う必要が出てくる。このとき気を付けることは、根尖を器具で破壊してしまわないことである。根尖部に存在する汚れを器具でからめ取り、かつ、汚染物を根尖から歯槽骨内へ押し出さず、根尖を破壊しないようにする。
器具の先端から指先に伝わってくる感覚により、治療を進めることになる。器具の先端から受ける感じで、根管の中がどのような状態なのかということを察知する必要がある。
■歯髄(歯の中を通っている神経)を取り除いた歯は残せるのか?(5) 
根管内を清掃する器具は、オートマチックなものが増えたと思う。
手指で行う方法から、機械化への流れである。
一方、歯内療法(根管内の治療)の専門書、いわゆるハウツー本もよく売れているという。
私は思うのであるが、手指で上手にできないとオートマチックなものでは、当然上手にできないと思う。
本当に難しいケースでは、手指でないと根尖ギリギリの汚染物は除去できないように感じる。
小さな器具(ファイル)の先端に、自身の目がついているように手指と器具が一体化し、自分の身体の一部とならなければ、根尖を破壊してしまう。

オートマチックな器具では、この点が自身と一体化しにくいと私は考えている。
■歯ブラシの購入に当たって 
歯ブラシを購入するときに値段で迷うならば、値段の高い歯ブラシを買って下さい、と患者さんにお伝えする。
どんな歯ブラシが良いでしょうかと尋ねられることもあるが、歯ブラシの仕方についてお伝えするときにもお話しをする。
当院ではおすすめの歯ブラシがある。
値段は324円である。この歯ブラシは、非常に良く考えてつくられていると思う。いろいろ使用してみて、私はこれに行き着いた。興味のある方は尋ねて欲しい。また受付にも置いてある。
世の中には値段が安くて良い品物というものは確かにあるが、歯ブラシは値段の安い物で良い物はない。値段の高い歯ブラシは、しっかりと手をかけてつくってある。
自分の歯ブラシは、健康のために良い歯ブラシを使って頂きたいと思う。
■矯正治療の効果と発現時期 
矯正治療をはじめると、早速目で見てもわかるぐらいに歯が動いてくる。
20歳までの年齢であれば、そのようなことは当たり前のようにみられる。特に小・中学生であれば、1~2ヶ月しても歯が全く動かないなどということはない。
もしそうであるとするならば、理論的に誤っているのではないかと検証してみる必要がある。
効果のないことをダラダラと行うことは、患者さんへの負担と時間の浪費という双方で好ましくない。
矯正治療とは、来院毎に新たな進展がなければいけないと考えている。
■主訴の解決をまずは行う 
患者さんは当然、訴えがあって来院する。ひとつのこともあれば、多くのこともある。
その中でも、主たる訴えのことを主訴という。
主訴がひとつの場合はわかり易いが、複数の場合も当然ある。その場合、一度に治療できなければ、優先順位を付けて、優先度の高い物から行うこととなる。
ここでひとつ気を付けなければならないのは、歯科医師側の都合で、主訴に取りかかることを後まわしにしないということである。 例えば、歯石をとらないと治療に入れないといったことや、歯磨きの仕方の指導が先であるといったことである。
患者さんが、今何に苦しんでいるのかを考えることが大切であると思う。
■義歯(入れ歯)とは使えないものなのか(10)
いよいよ義歯装着の日となると、患者さんも期待してやって来られる。
装着前にチェックすることは、まずは粘膜面の適合状態である。印象に問題はないので、調整はほとんどいらない。
ここでガリガリと削除しなくてはいけないようであれば、ちょっとおかしいと思わなくてはならない。
粘膜面の適合状態のチェックが済んだら、次は咬み合わせのチェックである。
天然歯が残っていれば、それを尊重した咬み合わせにする。天然歯が残っていなければ、試適して探り当てた咬み合わせに問題がないかを再確認する。
これもほとんど調整はいらない。ここでもしもガリガリと人工歯を削除しなくてはいけないようであれば、何かおかしいと思わなくてはならない。
新しくその人に合わせてつくった義歯が、完成時に「大きく調整しなければ入らない」ということほど不様なことはない。
■長期休暇の前の治療は 
長期休暇に入る前の治療は、患者さんが、医院が休診中に困らないように特に注意をしなくてはならない。
審美的(見た目)に問題の生ずるような、仮歯の脱落や破損といったことには特に注意を払う必要がある。
長期休暇中に何か治療中の歯に問題が生じたとしても、「休み明けに診察を受ければ良い」と患者さんが思うようでなくてはいけないと思う。
■完成したかぶせや詰め物の咬み合わせの調整のとき 
患者さんが、完成したかぶせや詰め物を少し高い(強く当たる)と感じるときがある。
患者さんの訴えはその通りであることもあれば、そうでないこともある。
ただ、ほんのわずかな咬み合わせの不具合も、人間は察知できるようになっていることは確かである。
歯科医師は、それが時間とともに消失する(早ければ装着に用いるセメントが硬化するまでに)ものなのか、本当にまだ微調整が必要なものなのかは、しっかりチェックしなくてはならない。
「時間がたてば慣れます」という対処は、避けた方が良いことが多い。
■電動ハブラシのこと 
患者さんで「電動ハブラシで磨いています」という方がときどきいらっしゃる。
たいてい磨けていなくて、磨き残しが多い。
電動ハブラシの宣伝をみれば、とても良く磨けるような感じを受けるが、実際はそうでもない。
電動ハブラシと普通のハブラシ、どちらを使えば良いのですかという質問は多い。
電動ハブラシは、むし歯のみを気にすれば良い世代が使えば良いと思う。20代までであろうか。
歯周病を気にしなければならない世代、つまり30代より上の年齢であれば、普通のハブラシが良いと思う。
もしくは、電動ハブラシと普通のハブラシを併用した方が良い。歯の部分は電動ハブラシで磨き、普通のハブラシで歯と歯肉の境目を磨くというように使いわけるのである。
歯と歯肉の境目の磨き残しが、電動ハブラシには多い。
また、年齢が上がっていく程にこの部分の磨き残しが大きな問題となってくるのである。
■毎日の食事が楽しくなければ 
毎日の食事が楽しくなければ、人生おもしろくないのではないかと思う。
食べることに寄与できる歯科の役割は大きいと思う。
自分の歯があり、充分に食べられるときは、歯の有難みなど思ったこともないであろう。若い時に、自分の若さに有難みを感じないことと同じである。
人間は失ってから何でもその有難みがわかる。
歯は財産であると思う。そして、失った歯はお金では買えない。
自分の身体はどこも大切なもので、不要なものはない。
高齢でも、食事がしっかりできる人は元気であり、認知症になることも少ないというデータもある。
歯は大切にし、もしも失った時は適切な処置を受けておくことが、その後の自分の健康に重要であると思う。
■入学試験も終わって 
2月になると入学試験もピークを迎え、結果もそろそろ出てくる。
入学試験があるからと、矯正治療の開始を遅らせていた人も多い。
これから何年間かは入学試験もなく、治療に入り易い時期といえるであろう。
中学生、高校生時代のそれぞれの3年間は、様々な行事や勉強、クラブ活動などがあり、長いようで短い。
気が付いたら、次の入学試験の時期になっていた、などということもある。
少しゆとりをもって矯正治療を開始することを、患者さんも念頭に置いておくことが大切であると思う。
■治療後の着地点を考える 
歯科医療は、ある一定の流れの様なものがあることは事実である。
ただ、その治療方法(流れの中)では対処できない場合に、何としても治すのだという考えで臨むのと臨まないのとでは大きな違いがある。
「治療後の着地点をどこに置いているのか」ということは、常に考えなくてはならない。
「治療という行為」を行っただけならば、患者さんが治療後に痛みを訴えても、「治療は終わりました」という回答になるであろう。
「医療としての治療」を行うのであれば、治療後に患者さんが不具合を訴えるなどということはあり得ないし、あってはならないことになると思う。
■歯科衛生士のモチベーション 
歯科衛生士になる人は、「人のためになる仕事をしたい」という人が多いように思う。
であるから、歯科が人の役に立っていないとわかれば失望するし、離職もするであろう。
新しい素材のかぶせをいくら説明したところで、患者さんからの共感は得られないし、果たしてこの仕事とは何だということになるのだろう。
「歯科医師が歯科の仕事を行う」ことが、歯科衛生士が今後も仕事を続けていく一番のモチベーションになると思う。
■節度のある受診 
節度のある受診というものは大切である。
医療費の膨張が言われており、このまま国民皆保険が継続できるのか、ということも言われはじめている。
自分の健康は自分で守るという姿勢が大切であると思う。
また、治療途中で他の歯科医院に転院するという行為も、国費のムダづかいであると思う。
当院では、他で治療中の方の当院への転院の希望があった場合、現在治療中の医院で処置を継続して頂くようにお伝えしている。いかなる理由であれ、主治医は大切にするべきであり、よく相談をして治療を受ければ良いと思うのである。
患者さんが「自ら選択して」その医院へ治療を依頼したのであるから、しっかりと治療を受けて欲しい。
■自分に合う歯科医師と出会うこと  
「~をされたから、もう行きたくない。そちらで診てもらえないか。」
といった電話は多い。そういう患者さんには、全員に
「現在治療を受けている歯科医院で、継続して診てもらってください。」
というのが当院の回答である。
そもそも、「~をされた」といっても、あなたの同意を得ての話ではないですか、ということだ。別に強制されたことでもないであろう。トヨタのクルマを買って気に入らなかったので、マツダの営業所に文句を言うのと同じレベルの話である。
そもそも、自分の生体の一部の処置を受けるのに、近所にあるからとか、遅くまで診療しているからとか、そんなレベルで歯科医院を選んで治療を依頼するのであろうか?私には不思議である。
働き方改革がさけばれる現在、身体の具合が悪いのに勤務中に病院に行けないことがあるのか?
自分がして欲しくない治療であったり、納得のいかない説明であれば、断って帰れば良いだけの話である。
国民皆保険で安価に治療が受けられるからと、患者さんの姿勢にも問題があるのではないか。例えば、クルマを買うときは、各メーカーのカタログを見て、試乗までして決めるではないか。
入れ歯をつくるのに、1,000,000円必要であるなら、もっと真剣に調べてから医院へ治療を依頼するのではないですか?
1,000,000円使ってつくった入れ歯が痛くて使えないものであったら、また他の歯科医師に1,000,000円使って頼むのですか?それは、保険で安価にできるからそういう選択になるのではないですか?国費のムダづかいと思いませんか?
受診する者の姿勢というものを、患者さんにももっと真剣に考えて欲しいと思っている歯科医師は多いと思う。
自分に合う歯科医師を探すのは本当に大変なことなのであるが、見つけられた時は本当に頼りになるということはいえるだろう。